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パーキンソン病動作障害センターと脳深部刺激療法の成果発表

 パーキンソン病の患者にとって最も困るのは言動のコントロールができなくなることです。パーキンソン病は患者の仕事、婚姻、生育、人生プランへ大きな影響を与え、また長期間の薬治療による様々な薬物反応、言動と情緒の劇変化など、患者は生理的にも情緒的にも大きなストレスがたまっていきます。家族も一日中看病しなければなりません、互いの生活に影響し合い、さらに家計が崩壊される可能性もあり、社会負担にもなります。

 

台大病院パーキンソン病動作障害センター 「国際傑出パーキンソンセンター」に選定

 台大病院パーキンソン病動作障害センターは2007年に成立され、2008年に全米パーキンソン病財団から「国際傑出パーキンソンセンター」に選定されました。アジアではシンガポールと台大病院だけに与えられた栄誉です。

 当センターは各科の協力を得て、斬新な技術で診療を行い、民衆に薬物使用教育、看病教育、理学療法、作業療法、社会福祉などに 関する問い合わせなどのサービスを提供しています。 (台大病院パーキンソンセンターhttp://www.pdcenterntuh.org.tw/index.htm 全米パーキンソン病財団https://www.parkinson.org/)

 台大病院パーキンソン病及び動作障害センターはアジアで唯一脳深部刺激療法でパーキンソン病手術を行う病院です。当センターはすでに30人以上の患者に手術を施し、効果顕著です。脳深部刺激療法特科も成立され、専門な医療チームにより術前診断と術後ケアを提供します

 

オン・オフ現象とジスキネジア 薬物治療の副作用

 パーキンソン病の主な病因は中脳黒質ドーパミン神経細胞の減少です。動作をコントロールするドーパミン神経の退化が60%を超えると、顫動、硬直、動作緩慢の病症が現れ、前期は体の片方が振え、だんだんひどくなり、体全身へと広がります。現在パーキンソン病前期患者にはレボトパを投与するのが主な治療方式です。しかし、パーキンソン病は進行性の病気で、患者は薬物治療を受けて5-8年経ると、効果が不顕著になります。レボトパの投与量が増えるが、有効時間がかえって減っていく、まるで電気用品のように、電気をつけると歩ける、切れると歩けなくなるという、「オンオフ現象」がしきりに起こります。もう一つの副作用はジスキネジアです。ジスキネジアとはレボドパの血中濃度がピークに達するとき、体に揺れや不随意運動が起こる病症です。とくに若い患者に多発しやすいため、日常生活に大きな影響を与えています。

 

フレームレス定位脳手術ガイドシステム 手術時間三時間以内に短縮

 十分な薬物治療を行っても改善が見られない、日常生活に支障を来す方には、手術治療を用います。脳深部刺激療法は電気刺激と薬物で治療を行い、病症の改善に有効です。
  過去ではフレームを使い、術前の検査も複雑で、患者さんに3キロもある定位脳手術装置を頭部に装着してMRI撮影と視床下核定位術を施し、目的点を測定します。手術も8~10時間くらいかかりました。しかし、現在行われているフレームレス定位脳手術ガイドシステムを用いた視床下核刺激では、患者の頭上に感応装置を植え込むだけで、視床下核を見ることができますから、刺激部位を直接計測できます。時間は過去の半分しかかかりません。脳深部刺激療法は3~5%の脳出血のリスクがありますが、危険性は電極が植え込まれた数によるので、フレームレス定位脳手術ガイドシステムの正確測定により植え込む数も減少し、手術の精確率も約46%増加しました。

 2003年、アメリカのニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンにパーキンソン病に関するある研究が発表されました。その研究では49名のパーキンソン患者を5年連続追跡続け、脳深部刺激療法を受けてから1~5年後、顫動は約75%、硬直は49%、動作緩慢は71%が改善されました。薬の使用量も半分ぐらい減らすことができました。台大パーキンソン病医療チームの治療経験からも、脳深部刺激療法を受けた患者は、術後の運動能力は約57%改善され、薬の使用量も半分減少されました。脳深部刺激療法は世界でかなりの評価を得ていると言えます。